(原著論文)

乳児の育てにくさの要因研究
− 新生児期からの育児相談・支援に関する提案 −


要旨:育てにくさとは「子育てに関わる者が感じる育児上の困難感」を指す. 育てにくさの支援は妊産期から必要で,虐待死や産後うつ病など,幼児期以降では手遅れになる課題がある.そこで本研究では,乳児期の育てにくさに直結すると示唆されている「睡眠」「授乳/食事」「衛生面・身辺処理」「感情コントロール」の4項目に焦点を当て,育児相談に関する提案を行う.重回帰分析の結果,この4項目のモデルで,0〜1歳児に対する育てにくさの感じ方の約45%が説明できた(R2=.452,p<.001).育てにくさを感じる割合は早産児や両親が同居していない家庭で有意に多い.完全母乳では完全ミルクよりもそう感じる割合が有意に少なく,育てにくさに対する母乳育児の有効性が確認された.また,夜の寝かしつけや日中の仮眠に有用な家事・育児の代行,イヤイヤ期では育てにくさと天秤にかけた育児方針やしつけの厳格さの調整支援も有効と考えられる.

キーワード:育てにくさ   乳児   母乳   ワンオペ育児   イヤイヤ期


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