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要旨:近年,子どもを取り巻く環境は複雑化し,障害,不登校,外国にルーツをもつ子どもたちなど,特別な支援ニーズのある子どもたちは増加傾向にある。さらに,様々なニーズを抱える子どもたち全員を包含するインクルーシブ教育システムの推進に伴い,こういった子どもたちが通常学級に在籍する割合も増加傾向にある。その中で,学校適応に問題を抱えることが多いことが指摘されており,周囲児に対する多様性理解教育が重要視されている。しかし,障害・外国籍の児童などの理解に関する教育は増加傾向にあるものの,不登校(傾向)児の理解教育の実態調査や,ニーズごとに比較した調査は見られない。そこで,本研究では,通常学級における多様性理解教育の取組みの現状について整理するとともに,周囲児から支援ニーズのある児童へのサポートや関わりの状況について調査し,比較検討を行った。残差分析の結果,不登校児の在籍する学級の場合は理解教育が行われていない数が有意に多かった。「対象児への対応や関わり方を教える」という学級の数が有意に少なかったことも踏まえると,不登校の背景や経緯が複雑であるため,理解教育の実践が難しい現状があると推察された。一方で,発達障害児が在籍している場合は,「対象児への対応や関わり方を教える」ことや,「良さを共有する」ことを実施している学級の数が有意に多く,特性上トラブルが生じやすいとされる発達障害(傾向)児との関わり方や良いところを周知することで,共に学ぶ空間を創造していることが推察された。
キーワード:多様性理解教育 周囲児 通常の学級 |
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