(原著)

知的障害児の数表記の学習に対する心理特性と指導環境の影響

要旨:本研究では、特別支援学校高等部に在籍する知的障害児の数表記の特徴を明らかにするとともに、学習成果に対する①動機づけ、数概念、ワーキングメモリ(以下、WM)といった学習者の心理特性と、②指導にあたる教員の属性や、教員が得られる情報、研修機会等といった指導環境との複合的な影響関係を検討した。全国の特別支援学校(知的障害)高等部において、四桁までの数表記の指導を行なっている教員を対象とする質問紙調査を行なった。生徒の数表記には、数字の構成要素同士の関係(統語)の処理の誤りが多く、空位を表す0の表記を忘れる誤りが最多であった。数表記の指導については、動機付けの機会を指導に活かす手立ての難しさが窺われた。また生徒のWMの問題が大きいほど、また教員が指導案等の情報を得ることに難しさがあるほど、指導の成果を上げることに困難を感じるという、生徒の心理特性と指導環境の複合的影響が認められた。

キーワード:知的障害   数表記   ワーキングメモリ   指導環境   動機付け


本文PDF  (画面での閲覧に制限されております)

ご意見投稿掲示板